家族から離れて避難したい人の支援をする中では、「ペット」の話は、よく、出てきます。

 団体Aでは、避難する女性や一緒に逃げる子どもがペットを連れてくることが多いと話しています。亀、犬、うさぎ、ハムスター。「亀を置いてきちゃった」と子どもさんが言って取りに帰ったことも。外で飼育しなければいけない大きな犬だと、その犬がいることで、「ここに避難している」ことがばれてしまうと困るので、預かってくれるスタッフや協力者に頼むこともあるそうです。ハムスターが運動不足だと困るので、運動する機器も必要になってシェルターで買ったり。ペットも病気になったりするし、地域の獣医さんも協力してくださっているそうです。

また、「この部屋だけは、動物OK」という風なシェルターを用意している団体も、数は少ないですが、あります。そんな団体に「どうですか?」と尋ねると、団体Bでは、「やってみたら、ペットの餌代がかかる!それにペットも保護すると、退所後の部屋の修復が予想以上に大変です。消臭や備品の修復などにお金がかかることがわかりました。自治体からの保護委託費(第2回記事で説明します)の対象にはならない予算です」と。

 団体Cの方は、こんなふうに話しています。「長年、ワンルームでのペット同伴の受け入れをしていましたが、家族とペットが入れるシェルターの必要性を感じていたので、2020年10月にペットのシェルターをたち上げました。一戸建てで、3家庭入所可能です。犬、猫、インコ、ハムスター、熱帯魚、ウサギ、モルモット、トカゲ、ミニブタなどさまざまな動物たちが避難しています。ペットは家族の一員であり、ペットと離れて避難することはできません。避難する際はペットのキャリーバッグやトイレや爪とぎ、ゲージなどペットグッズを持ってこれるよう迎えに行くこともあります。」
 滞在中は餌だけでなく、ペットシーツやトイレ砂など消耗品にお金がかかり、アレルギーや体調の悪いペットの場合は一般的な餌を食べると下痢をするとのことで、高い餌が必要な場合があります。「自分の食事を減らしてもペットのエサは必要だ」と話されます。避難当初はペットも当事者も暴力の影響で体調を崩しています。
 「ただ、私たちのいる自治体では、行政のDV相談窓口から紹介されてもペット同伴は「一時保護委託」の対象になりません。定職につけず、保証人もなく、債務整理が必要な状況でペットと新しい生活をはじめることができない方が多く利用されます。ほとんどの方はシェルターの利用料の支払いができず、生活保護を申請しても生活扶助のみで、住居費は出ません。厳しい経営状態ですが、社会資源を利用して何とかやっています。」

このようなシェルターに、ペットの餌だけでなく、ペットシーツやトイレ砂など消耗品もご寄付いただける企業や団体・個人、そしてご協力いただける獣医さんなどがおられれば、私たちはとてもうれしいです。