2018年11月3日、4日 第21回全国シェルターシンポジウム2018 in札幌
「官民の境を超え、地域を超え、国境を超える、女たちのネットワーク 〜#MeToo, #WeToo, #WithYou〜」
会場:北海道立道民活動センター(かでる2.7)
主催:NPO法人 全国女性シェルターネット
第21回 全国シェルターシンポジウム2018 in 札幌 実行委員会
後援:内閣府、厚生労働省、文部科学省、外務省、北海道、札幌市、北海道弁護士連合会、札幌弁護士会、キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク北海道ブロック
助成:北海道、札幌市、国際交流基金アジアセンター
基調講演「欧州評議会「女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンス防止条約」
(イスタンブール条約)と欧州における女性シェルター」
講師:ローザ・ローガーさん (オーストリア)
(WAVE(ヨーロッパ・シェルターネットワーク)理事長・「イスタンブール条約」専門家監視委員会第一副委員長)
ドメスティック・バイオレンス(DV)や性暴力など「女性に対する暴力」の実情や被害者支援策等について、ローサ・ローガー氏(オーストリア)を招いて対策のグローバル・スタンダードであるイスタンブール条約についての講演会を行い、また、シンガポールの民間団体の支援の実情や対策について公開シンポジウムや分科会などで報告していただき、日本の支援者との議論、交流を深めました。
イスタンブール条約とは
欧州評議会で採択された「女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンスの防止、根絶に関する条約」(2014年発効)のことです。防止(PREVENTION)、保護(PROTECTION)、訴追(PROSECUTION)、統合された政策(INTEGRATED POLICIES)を軸にし、国家にDV、性暴力、セクシュアル・ハラスメント、中絶と不妊手術の強制などを犯罪とするか、少なくとも罰を与えることを求めています。また、同意を得ていない性行為はレイプとみなされます。被害者の支援の水準として、専門的で、即時的、短期的及び長期的な支援サービスを実施し、すべての地域に女性シェルターを設置する(最低水準は住民1万人に対して一カ所)などきめ細かい基準が設けられています。
現在、この条約には英国やベルギー、スウェーデンなど欧州を中心に30カ国以上が批准しています。
○イスタンブール条約で求める被害者支援の水準
・暴力の被害を受けたすべての女性と子どもには専門的な支援サービスを受ける権利
・各地域に適切に配置された、即時的、短期的および長期的な支援サービス
・母親に対する暴力を目撃した子どもには年齢にふさわしいカウンセリング
・24時間365日匿名、無料でかけられる女性のための電話相談窓口を少なくとも全国に1つ。
・すべての地域に女性シェルターがあること(最低基準:住民1万人に対して1カ所)
・性暴力センターを含む女性センター(住民 20万人に対して1カ所)
(ローガーさん基調講演より)
シンポジウム
「官民の連携・ネットワーク ~シンガポール・北海道~」
進行:山崎菊乃(NPO法人 女のスペースおん)
シンポジスト:ロレイン・リムさん(シンガポール、シンガポール女性団体協議会(Singapore Council of Women’s Organization, SCWOが運営するStar Shelterのマネジャー)
ハムザ・アブダル・ムタリブさん(シンガポール、 Casa Raudha Women Home理事)
美藤加代子さん(北海道立女性相談援助センター所長)
北仲千里
議員フォーラム
「包括的な性暴力禁止法の制定に向けて~イスタンブール条約と女性支援国内法の整備~」
司会:佐藤香
進行:遠藤智子さん(一般社団法人社会的包摂サポートセンター)
登壇者:大河原まさこ衆議院議員
紙智子参議院議員
福島みずほ参議院議員
矢田わかこ参議院議員
ローザ・ローガーさん
分科会
- シェルターにおける支援理念と安全対策のあり方を考える
- 今、「性暴力被害者支援法(仮)」が必要だ!
- 米国研修ツアーから学ぶ性虐待被害者支援の対応
- DV離脱後のサバイバーを日常的に支える仕組みづくり
- 若年層へのDV予防教育の内容と効果
- AV被害とリベンジポルノの現状と課題
- 包括的な性暴力禁止法をめざして
- 女性自立支援法(仮称)の制定をめざして
- 高齢者虐待?それともDV被害?~家庭内の高齢者への暴力の状況と課題~
- 暴力とハラスメントのない社会へ
- アイヌ文化に触れてみませんか?アイヌ女性の生き方を聞いてください!
- DV被害者支援基礎講座
- 女性と貧困:貧困のサイクルを断ち切るには
- LGBT支援マニュアル
- 子どもの視点から見た面会交流
2018年11月1日、2日
アジア・シェルターネットワーク 公開シンポジウムもプレ企画として開催されました。
Asian Network of Women’s Shelters Conference
テーマ 「アジアにおけるDVの現状と対策」
Theme: Evidence based research on shelter needs and the status of laws to prevent domestic violence and protect survivors in Asia
日時:11月2日(金)13時~16時
会場:かでる2.7(北海道立道民活動センター)
主催:アジア・シェルターネットワーク(Asian Network of Women’s Shelters)
共催:NPO法人 全国女性シェルターネット
後援:台湾政府(中華民国外交部)、財団法人Garden of Hope Foundation(台湾)、
助成:国際交流基金アジアセンター、広島大学(研究強化促進事業)
登壇者・報告者
POK Panhavichetrさん(カンボジア、カンボジア女性クライシスセンター Cambodian Women’s Crisis Center (CWCC))事務局長)、
Uma SHAHさん (ネパール、Saathi (女性のDVシェルター)理事長)、
Sujana XIMENESさん(東ティモール、Casa Vida (少女のためのシェルター)事務局員)
Lorraine Limさん(シンガポール、シンガポール女性団体協議会(Singapore Council of Women’s Organization, SCWOが運営するStar Shelter)
Anthony CARLISLEさん(台湾、Garden of Hope Foundation職員、アジア・シェルター・ネットワーク(ANWS)事務局員)、
紀惠容さん(台湾、Garden of Hope Foundation 理事長, 世界女性シェルターネットワーク(Global Network of Women’s Shelters)代表)、
葉德蘭さん(台湾、台湾大学教授)、
Rosa LOGARさん(オーストリア、WAVE(ヨーロッパシェルターネットワーク)理事長、イスタンブール条約監視委員会委員)、
NGUYEN Van Anhさん(ベトナム、Center for Studies and Applied Sciences in Gender, Family, Women and Adolescent (CSAGA)理事長)、
Dolli Dashさん(インド、Project Swarajya職員)、
北仲千里さん(全国女性シェルターネット、広島大学)
松村歌子さん(関西福祉科学大学)
近江美保さん(長崎大学)
内容
Opening remarks 開会挨拶 Chi Hui-Jung (chair of GNWS)
Moderator: Prof. OMI Miho, Nagasaki University 進行 近江美保
Keynote presentation: Challenges and opportunities for women’s shelter organizations to produce evidence-based research and use it as an advocacy tool
Keynote Speaker: Prof. Chisato and Prof. Matsumura
基調報告「アンケート調査や公的統計・法からみるアジア各国の女性シェルター」 北仲千里・松村歌子
Country reports: Current status of protective services, domestic violence prevention laws, and shelter needs in Asia
Cambodia, India, Nepal, Singapore, Taiwan, Timor-Leste, Vietnam
各国からの報告 インド、ネパール、シンガポール、台湾、東ティモール、ベトナム
2018年10月31日 アジアのシェルターネットワークからのゲスト及びRosaLogarさんは、
内閣府男女共同参画局池永局長を表敬訪問し、日本の対策についての説明を聞き質疑を行い、また、日本の対策の一層の推進をもとめ、イスタンブール条約批准を呼びかけ、また、2019年の世界シェルター会議に日本政府を招待しました。海外ゲストはまた、11月1日に北海道立女性相談援助センターを見学しました。