世界中で、「シェルター」はDVの被害者支援のキーワードとなっています。

  DVを含む家庭内暴力は、生活の場である家庭で被害を受けるため、その被害から逃れようとすると、住むところに困ります。また、緊急に逃げ出したり、家から追い出されたりした場合、今夜、すぐに泊まれるところが必要になります。そのため、DVやその他の家庭内暴力の被害者支援には、滞在場所や住宅の支援は必要不可欠なものです。

 また、DVの加害者は、支配を続けたい、また自分がそんな虐待を行っていることを周囲に知られたくないので、「別れる」というと、何とかよりを戻して関係を続けようとします。

 DV加害者は家族を「自分のもの」だと思っているため、相手が自分の意志で去っていくことを受け入れられません。「別れましょう」と言われると、何もなかったことにしたいので、「戻ってきていいよ」というし、それでも別れると言われると、「ばかにされた」「裏切られた」と受けとり、どこまでも探し出し、追いかけて連れ戻そうとします。実家に逃げることは、場所がわかっているので安全ではありません。最悪の場合は「別れ話のもつれ」殺人事件が起きてしまいます。ですから、DVとストーカーは、かなり繋がっている問題なのです。

 加害者はどこまでも探し、連れ戻しにくるので、「シェルター」(場所が秘密の避難所)が必要となります。 

 「シェルター」(shelter, refuge)は、したがって、狭い意味では、緊急に被害者が逃げ込めて、場所が秘密の滞在場所、という意味です。ですが、広い意味では、DV被害者を支援する活動や組織をシェルターと呼んでいます。

 また、滞在場所としてのシェルターは、緊急に相手から隠れて逃げ込むための安全な場である「緊急シェルター」もありますが、その後、新しい生活を作っていく初期の段階に住む施設である「中長期的シェルター」「ステップハウス」などもあります。

日本では、公的施設、または公的支援がなされている施設としての緊急シェルターと中長期的なシェルターにあたるもの と、民間団体が自主的に作って運営しているシェルター(緊急シェルター、中長期的なシェルター)とがあります。

全国女性シェルターネットの「シェルター」とは、こうしたDV被害者への相談支援活動をしている民間団体であることを示しています。